温経湯はここ数年有名になり、婦人科や不妊治療専門クリニックで
当帰芍薬散と並んでよく処方されるようになりました。
温経湯は中国の古い書物である『金匱要略』に記載された処方です。
効能は温経散寒、養血祛瘀で
血脈（特に衝脈や任脈）を温めて寒邪を発散させ、
血を養うことで瘀血を取り去り、血の運行を良くします。
閉経前後に起こる不正出血や月経不順、
子宮の冷えによって起こる血脈の機能低下による不妊症に用いられます。
構成生薬としては
呉茱萸、当帰、白芍、川芎、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草、半夏、麦門冬です。
その中でも特に大切な生薬が阿膠（あきょう）。
阿膠はウマ科のロバの皮を毛を取り除いてからよく煮てニカワの塊にしたものです。
産地は山東省と浙江省ですが、
もともと山東省阿県に湧く井戸水でロバの皮を煮たものが非常に品質がよかったため
そこから「阿膠」と名付けられたそうです。
血や陰を補ったり止血作用があったりと、阿膠の質が処方の質を左右するといってもいいほど
温経湯ではなくてはならない大切な生薬です。
その阿膠、品質の良いものはとても高価で、今なお価格が上昇し続けています。
昨年もコロナ禍において、阿膠、すなわち温経湯の値上がりがあったので、
当店では少しでも安く皆さんに処方するために２年分の在庫を抱えました。
そんな貴重な阿膠ですから当然のことながら保険で提供するのは困難になっています。
有名な保険漢方メーカーの温経湯にもアキョウが記載されているので問い合わせたところ、
記載のアキョウはロバの皮ではなく、ウシ由来のゼラチンだそうです。
それをアキョウと記載していいのかどうかは謎ですが
実際それでは阿膠としての効果がほとんど期待できないのではないかと思います。
私が考えるところ、現在日本に流通している漢方のエキス剤（粉薬）の中で
しっかりと温経湯の品質が保たれているものはおそらく一社だけだと思います。
もちろん保険適用の漢方薬ではありません。
他メーカーさんから抗議がきても困るのでメーカー名は記載しませんが、
同じ名前の漢方薬だったとしても、メーカーさんによってかなり品質が異なるのが実情です。
貴文
漢方薬局 柚花香房
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問い合わせ：０６－６８１６－９６７７
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