東洋医学でいう「腎」は生命の源、”先天の本”と称されています。
いわゆる生きていく上で一番大切な臓器です。
中国の書物では
腎の主な生理機能は精を蔵し、成長、発育、生殖及び水液代謝を司る。
また腎は骨を司り髄を生じ、その栄は髪にあり、耳と二陰(前陰と後陰)に開竅する。
腎の志は恐及び驚となし、液にあり唾となす。
足少陰腎経と足太陽膀胱経はそれぞれ腎と膀胱に属絡して、また腎と膀胱は水液代謝の面で直接関連しているので、表裏関係になっている。
と書かれています。
簡単にいうと「腎」は腎臓、膀胱、生殖機能、骨、耳、髪などに強く関わっています。
そして腎に関わる病気で言えば、例えば、
慢性腎臓病(クレアチニンが高い)、腰痛、脊柱管狭窄症、耳鳴り、難聴、脱毛、生理不順、不妊症など。
腎が関与している疾患はたくさんあります。
腎を弱らす原因として、過労や睡眠不足、高齢出産、老化、体質などがあります。
中でも日々の生活でもっとも大きく影響することと言えば睡眠です。
睡眠をしっかりとっていれば衰えは少なく回復も早いです。
逆に継続的に睡眠が良くないと衰えが積み重なり回復が難しくなります。
体質的に腎の弱い方が睡眠が少ない生活を続けていると加速度的に衰えていきます。
腎の疾患のお悩みをおうかがいしていて、漢方を処方するとともに必ずお伝えするのが睡眠です。
腎が回復する時間は22~2時ですので、できるだけ早く就寝し7~8時間は眠るようにお伝えしています。
たとえば3時から11時まで寝ても、体力は多少回復しても腎は回復しません。
女性が男性に比べて治りやすい理由のは、ずばり睡眠です。
女性は男性に比べ比較的早く寝ますし、一時的に寝る時間が遅い期間が続いても数年にわたって寝る時間が遅いことは少ないからです。
男性は独身の頃はもちろんですが、結婚したり子供ができても毎日1時、2時まで起きているという人は結構いらっしゃいます。
そういう生活を2,30年続けていると当然ながら、ちょっとやそっとで回復しないほど腎は弱ってしまい、漢方を服用しても良くなるのにすごく時間がかかります。
あと漢方相談の際早く寝るようにお伝えすると、女性はたいていの方が早く寝るように頑張ってくれます。
それに比べて男性は、半分聞いてくれたらいいくらいでなかなか睡眠のアドバイスを聞いてくれません。
早く寝るだけで腎の疾患は治りがかなり変わってきます。
良くなりたい方は少しでも早く寝るようにしましょう。
治らないと言われていた疾患でも生活面を改めることで良くなる例がたくさんありますよ。
執筆者
井上 貴文
薬剤師、国際中医師、統合医療生殖学会学術理事
漢方薬局 柚花香房
大阪府吹田市山田西3丁目57番20号ピアパレス王子101
問い合わせ:06-6816-9677
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