子宮筋腫とは子宮筋層を構成する平滑筋に発生する良性腫瘍ので、発生・増大にエストロゲンが関与するエストロゲン依存性疾患です。30~40代の女性に後発します。子宮筋腫が発生することにより、過多月経、月経痛、不妊症などの症状が起こります。
子宮筋腫は発育方向によって3つに分類されます。
筋腫が子宮筋層内に発生・発育するもので、子宮筋腫の約70%を占めます。
筋腫の発育により、子宮は増大し変形します。
子宮の変形により子宮筋の収縮が妨げられるため、月経時の下腹部痛や腰痛がきつかったり、月経が長く続いたりします。
3つの分類の中で一番多発しやすいのも特徴です。
筋腫が子宮内膜下に発生し、子宮腔内にむけて発育します。
子宮内膜の粘膜下に筋腫結節が発育するもので、頻度は5~10%です。
症状がもっとも強く出るのが特徴で、ひどい月経痛や過多月経(月経量の増加)が起こります。
それにより貧血も起こりやすくなります。
筋腫が子宮漿膜の直下に発生・発育します。
頻度は10~20%で、通常無症状のことが多いです。
ただ、筋腫が有茎性漿膜下筋腫となった場合、茎捻転を起こすこともあり、その場合は急性腹症をきたします。
西洋医学の治療では、GnRHアゴニスト(リュープリンなど)で下垂体機能を抑制し、卵巣からのエストロゲン産生を低下させ、筋腫を縮小させる方法もありますが、副作用として、低エストロゲン状態による更年期障害様症状を引き起こし、6か月以上投与を続けると骨量低下をきたすため、長期治療は困難とされています。
腹腔鏡や子宮鏡などの内視鏡下手術で筋腫を核出する方法もあります。
東洋医学では子宮筋腫を「石瘕」と呼びます。
石瘕は血の滞りいわゆる瘀血と考えます。
婦人科では、子宮筋腫に漢方薬は効かない、漢方薬で小さくなることはないと言われます。
実際のところ病院で処方される漢方薬では小さくすることは難しいかもしれません。
ただそれは一般的な活血薬、血の巡りを良くする漢方使っているからです。
活血薬と呼ばれる血の巡りをよくする漢方には、
桂枝茯苓丸、芎帰調血飲第一加減、通導散、当帰芍薬散、折衝飲、冠心二号方、桃核承気湯
といったものがありますが、筋腫を小さくしていくには効果が弱いです。
子宮筋腫を小さくしていく潰していくには、活血ではなく破血のものを使います。
血を流すのではなく血を破る、すなわち血の塊である筋腫を潰していく処方です。
破血効果のあるスイテツ、シャチュウ、ボウチュウなどの動物生薬を使います。
大きい筋腫を小さくしていったり潰していくには、強い作用をもつ生薬を使わないと難しいです。
漢方薬局柚花香房では動物生薬を使った漢方を使います。
これらは煎じや粉薬では臭いがきつくて飲みにくいですが、成分をアルコール抽出した錠剤タイプのものを使いますので無味無臭で楽に飲んでいただけます。
子宮筋腫でお悩みの方、できれば手術せず漢方を試してみたいという方はぜひご相談ください。
執筆者
井上 貴文
薬剤師、国際中医師、統合医療生殖学会学術理事
漢方薬局 柚花香房
大阪府吹田市山田西3丁目57番20号ピアパレス王子101
問い合わせ:06-6816-9677
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