不妊漢方治療Q&A18
Q.体外受精で移植を繰り返し着床はするのですが、毎回心拍確認後すぐに流産してしまいます。
卵の質が原因でしょうか?
A.主に卵が原因の場合と母体の妊娠維持力が足りない場合があります。
体外受精で移植後に着床はしても胎嚢確認後に流産になったり、
心拍確認後すぐに成長が止まってしまうといった相談はよくおうかがいします。
流産する原因にはいくつもの要因があるのですが、ご相談の方のような場合だと、
妊娠するという力はある程度備わっているので主に二つの原因にしぼられます。
一つ目は受精卵の質が良くない場合です。
受精卵の染色体のエラーは何番目の染色体に問題があるかによって、
全く着床しなかったり、着床はするけど途中でダメになってしまうなどそれぞれ異なります。
漢方薬局柚花香房に来られていた方でグレードAAやABなどの卵を
何度移植しても着床すらしないという方がいらっしゃいました。
クリニックを移ってもらい着床前診断で調べてもらったところ
やはりどの卵にも染色体異常が見られました。
そこでご夫婦でしっかりと漢方を飲んでいただくことで
染色体に問題のない受精卵ができ無事妊娠されています。
二つ目は妊娠を維持する力の不足です。
30代後半から40代にかけてよくみられる原因です。
力が不足していて胎児を大きくできない、大きくなる胎児を支えきれないとなど、
もともとの母体の力が弱いことが原因です。
東洋医学的には腎陽虚、気虚が原因です。
妊娠前からしっかりと妊娠に耐えられる体を作り、
妊娠と同時にしっかりと補腎、補気を強化することで妊娠を支えます。
当店の相談で驚くような結果が出た事例があります。
30代後半の方で、採卵しグレードの良い卵は何度も取れるのですが
移植後妊娠はしても長くても8週までしか妊娠を継続できませんでした。
漢方を服用し体を高めたあとに、病院からの提案で胚盤胞を2つ移植すると、
なんと2つとも着床し双子になってしまったケースがありました。
移植はだいたいグレードの良いものから移植するので、
残った2つの受精卵が着床したことには驚きでした。
過去に流産していた受精卵も染色体に問題がないものが含まれていたことが想像できます。
漢方相談でお体やこれまでの不妊治療の過程をおうかがいしていると、
流産の原因がだいたい見えてきます。
そこで体にあった漢方薬を服用することで状況の改善が期待できます。
特に妊娠の維持力が不足している場合は、
体を整えない限り何度移植してもうまくいかない可能性が高いので、
問題に対応した対策が必要です。
明確な原因がわからないまま流産が続く場合などは、
しっかりと診てもらえる漢方薬局に相談することで色々なことがわかってくると思います。
※質問に対する回答はあくまでも私の個人的な考え方で、
不妊治療専門クリニックのドクターや他の漢方の先生とは見解が異なる部分もあるかと思います。
その辺を踏まえご参考までにお読みください。
執筆者
井上 貴文
薬剤師、国際中医師、統合医療生殖学会学術理事
漢方薬局 柚花香房
大阪府吹田市山田西3丁目57番20号ピアパレス王子101
問い合わせ:06-6816-9677
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