不妊漢方治療Q&A17
Q.自然妊娠希望です。婦人科で排卵時期を診てもらったほうがよいですか?
A.周期が安定しているのであれば、夫婦生活の回数を増やす方が効果的です。
まずはお体の状態によります。下記のように
①排卵誘発剤を使わないと卵胞が育たない
②卵胞は大きくなるがうまく排卵できない
③高温期の体温が低くプロゲステロン値も低いので黄体ホルモン剤が必要
などの場合は適切なホルモン剤を服用された方がいい場合があり、
適宜、婦人科さんを受診しその過程で卵胞の大きさをチェックしてもらうことになります。
もちろん漢方での対処も可能です。
月経周期が比較的安定している、自力で排卵している、
高温期が36.7℃を超え12日以上ある場合などは
ある程度排卵時期が推定できるので特に時期を診てもらう必要はないと思います。
自力で排卵できるにもかかわらず、排卵時期の特定を希望されている場合、
そのご夫婦のタイミング回数が少なく、1周期で1~2回しかないことが多いです。
少ないがゆえに時期を特定してもらい集中して頑張るということだと思いますが
それではお子さんを授かる可能性は低くなります。
漢方薬局柚花香房では、自然妊娠希望の方には効果的なタイミングの取り方をお伝えしていますが
排卵が疑われる時期は3~4回の夫婦生活をおすすめしています。
効果的なタイミングとは、特定の日にめがけて頑張るのではなく
排卵時期、いわゆる出産確率の高い時期は精子が膣内に常に存在することをおすすめしています。
健康な精子は膣内で2日生き残るとされています。
単純にいえば2日に1回タイミングをとれば精子は膣内にずっと存在することになります。
周期が安定されているかたは3~4回タイミングをとれば
可能性の高い時期はほぼほぼフォローできるかと思います。
1周期で1~2回だと回数が少なくて確率は低くなります。
あと射精していない期間が長いと精子の状態が落ちやすいという心配もあります。
夫婦生活の回数の多いご夫婦ほど妊娠確率が高く流産確率が低いというのは
たくさんの論文から明らかな事実です。
極端なことを言えば、毎日夫婦生活があれば排卵時期を診てもらう必要はないわけです。
子作りに一番大切なことは、ホルモン治療よりも漢方よりもまずは夫婦生活です。
婦人科さんで診てもらう時間を少しでも夫婦生活の時間にまわしましょう。
余談ですが、日本人の夫婦生活の回数は世界的にみて断トツで少ないそうです。
不妊症の定義は「1年以上の不妊期間を持つもの」とされていますが
夫婦生活の回数が少ない日本ではあまり海外と同じ定義では
当てはめることができないのではないかと思います。
※質問に対する回答はあくまでも私の個人的な考え方で、
不妊治療専門クリニックのドクターや他の漢方の先生とは見解が異なる部分もあるかと思います。
その辺を踏まえご参考までにお読みください。
執筆者
井上 貴文
薬剤師、国際中医師、統合医療生殖学会学術理事
漢方薬局 柚花香房
大阪府吹田市山田西3丁目57番20号ピアパレス王子101
問い合わせ:06-6816-9677
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