黄体ホルモン(プロゲステロン)とは排卵後に卵巣から分泌されるホルモンで、子宮内膜の着床をうながし受精卵を着床させやすくします。
この黄体ホルモンの分泌が少なくなったり働きが悪くなることを黄体機能不全と言います。
黄体ホルモンが少なくなると、子宮内膜が成熟せず、受精卵が着床しづらくなります。基礎体温表では低温相と高温相の差がはっきりしなかったり、また高温相があっても短い(10日以内)という特徴があります。
西洋医学の治療では黄体ホルモン剤を用いたり、排卵誘発剤であるhCG剤を用いて卵巣に働きかけ、黄体ホルモンの分泌を促進します。
また、ART(高度生殖医療)において卵巣刺激のためにhMGやGnRHアゴニストを使用すると、内因性のLH・FSHの分泌抑制により黄体機能不全をきたすことがあると言われています。
東洋医学では黄体機能不全を主に腎陽虚ととらえ腎陽を強くすることを主とした治療になりますが、単に「腎」を強くするだけでなく、なぜそのような状態に陥っているのかを見極めた上で、状態に合った漢方薬を選ぶことが大切になってきます。
一般的に黄体機能不全と言われる状態に至る原因として、東洋医学的に腎陽虚の他には血瘀、肝鬱、脾虚、腎陰虚などが考えられていますが、まじめな日本人の性格上、心気虚、心血虚が原因の黄体機能不全もよく見られます。真面目な方に多い印象です。
実際の臨床ではいくつかの原因が複合している場合がほとんどで、その場合は複数の漢方を併用します。
一回の周期における黄体機能の状態を一時的に良くするのではなく、根本的に黄体機能が回復している状態に持っていきます。
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「黄体機能不全」と文字にすると重症のように感じられますが、
状態にあった漢方をしっかり服用することにより妊娠は十分可能になります。